一般的に「10円ハゲ」と蔑まれることが多い円形脱毛症。美容室や理髪店で「大変申し上げにくいのですが…」と切り出されてショックを受けたことのある人もいますよね。「脱毛範囲も狭いし、育毛剤でこっそり治そう」と考える人も多いですが、実は市販の育毛剤は円形脱毛症に無意味な可能性が高いのです。
円形脱毛症は、自分の免疫機能が毛を生やす細胞を攻撃することで毛が抜けてしまう病気。AGAとは脱毛原因が異なるので、AGA向けの育毛剤には効果を期待できません。
円形脱毛の範囲が小さい場合は、自然治癒することも多いですが、放っておくと脱毛範囲が頭全体に広がったり、身体の他の部位にまで脱毛が広がることもあります。「どうせストレスが原因だろうし、そのうち治るだろう」と放置していると、思わぬ痛い目をみる可能性もあるのです。
円形脱毛症に育毛剤がおすすめできない理由と原因、おすすめのクリニックについてまとめました。
この記事の内容
円形脱毛症に育毛剤がおすすめできない理由
円形脱毛症は、病気の一種です。男性ホルモンなどに原因があるAGAとは原因が異なるのでAGA用の育毛剤では効果がありません。
- AGAとは違い病気の一種
- AGAではないので医師による治療が必要
- ハゲている部分が少ない場合は自然治癒する可能性が高い
- 広範囲になる場合は長期化する恐れがありクリニックでの治療が必要
円形脱毛症はAGAなどとは違い病気の一種
円形脱毛症は、近年の研究により、自分の白血球が誤って毛を作る細胞を攻撃することが原因とされています。
「ストレス過多になると、10円ハゲができる」と言われますが、円形脱毛症の原因である白血球の誤作動のきっかけは、過剰なストレスだけではありません。患者さんの中には「なんの心当たりもないのに、突然ハゲができた」という人もいますし、インフルエンザによる高熱がきっかけで発症する人もいるのです。
円形脱毛症の原因については、公益社団法人日本皮膚科学会の円形脱毛症に関するQ&Aにこのように書かれています。
どうして、自分のリンパ球が自分の毛包を攻撃してしまうのか、その理由は完全には分かっていませんが、患者さんの遺伝子を詳しく調べた結果、現在では毛包を標的にした自己免疫病だと考えられています。リンパ球の攻撃が抑えられれば元通りの毛が生えてきます。
(引用:公益社団法人日本皮膚科学会 円形脱毛症というのはどんな病気ですか?)
CMなどでよく見聞きするAGA(男性型脱毛症)の主な原因は、男性ホルモンが変異したDHTが毛髪の細胞の自死を促すことなので、AGAに対応した育毛剤は、DHTの発生を抑制し、頭皮環境を整えるものがメインです。円形脱毛症の原因である、誤作動した自分の免疫に対応した成分は入っていないません。円形脱毛症に自己判断で育毛剤を使用することは、おすすめできないのです。
AGAではないのでステロイドなどでの治療になる
円形脱毛症の治療は、専門医での治療がメインです。治療方法は、日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドラインによって定められており、外用療法、局所療法、全身療法の3種類に分かれています。
クリニックでの治療は、円形脱毛症の症状によって異なり、脱毛症状の範囲が狭い場合は、ステロイドなどの外用療法や内用療法を併用して様子を見る場合が多いようです。脱毛範囲が広範囲になっている場合は、1から2週間に一度程度の頻度で局所免疫療法が行い脱毛箇所の改善を目指します。
円形脱毛症というと、10円程度のハゲが1カ所にできるものというイメージが強いですが、中には頭全体の毛や全身の毛が抜ける人もいます。円形脱毛症の範囲が広い人ほど、治療にかかる期間も長い傾向があります。
ステロイドを用いた療法では副作用も報告されており、一部の治療は子供で円形脱毛症に悩んでいる人には使えないなどの制限があります。クリニックによっては、あえてステロイドを使用しない治療方法を選択していることもあり、治療には医師と話し合いが不可欠です。
ハゲている部分が少ない場合は自然治癒する可能性が高い
円形脱毛症は、専門医での治療が必要な自己免疫の病気ですが、脱毛している部分の範囲が狭く、脱毛部位が1ヶ所しかない場合は、自然治癒する可能性が高いです。
公益社団法人日本皮膚科学会の円形脱毛症に関するQ&Aにもこのように書かれています。
脱毛斑の少ない場合は、ほとんどが自然に治り、治療も不要なくらいです。しかし、広く抜けている場合ほど、脱毛が長引き、全頭型や汎発型では数年以上続くこともあります。
(引用:公益社団法人日本皮膚科学会 円形脱毛症は治るものですか?)
逆に、脱毛している範囲が広いほど、脱毛の悩みが長く続く傾向があります。この場合でも、毛を作る細胞自体は残っているので、治療がうまくいった場合や何かのきっかけで円形脱毛症の悩みが解消することがあります。
円形脱毛症は、後頭部など自分では気付きにくい範囲にできることが多いものです。自分の脱毛症がどの程度なのかを知るためにも、円形脱毛症の症状に気がついたらクリニックを受診すべきでしょう。
広範囲になる場合は長期化する恐れがある
狭い範囲の円形脱毛症は、自然治癒する可能性が高く、円形脱毛症の診断・治療を行っている医師でさえホームページ上に「円形脱毛症のほとんどは自然に治癒します」と書くほどです。
しかし、脱毛範囲が全体の4分の1以上であったり、1ヶ所だけでなく複数箇所に脱毛部位がある場合は、円形脱毛症の症状が悪化する可能性があります。治療も数年単位になり長期化する傾向があるので、複数箇所に10円ハゲがある場合や、頭の毛以外にも脇毛や眉毛、陰毛などが抜けている場合はクリニックに相談した方がいいでしょう。
単なる円形脱毛症ではない可能性もあるので、クリニックを受診すると血液検査を勧められます。念のために受けておいた方がいいでしょう。
円形脱毛症の原因は自己免疫の誤作動
円形脱毛症の原因は長らく謎でしたが、現在では自己免疫の誤作動と考えられています。自己免疫の誤作動とは、自分の体内に入った病原菌を攻撃する白血球が、なぜか自分の健康な細胞を攻撃してしまうことです。円形脱毛症に悩む人の体で何が起こっているのか、詳しく説明します。
- 自己免疫が誤作動し毛母細胞を攻撃している
- ストレスが原因とは限らない
円形脱毛症は自己免疫が誤作動し毛母細胞を攻撃している
円形脱毛症は自己免疫が間違って毛母細胞を攻撃することで、毛が生えなくなっています。「毛が生える仕組み」から説明しますね。
1本の毛が生えてから抜けるまでのサイクルのことを毛周期(もうしゅうき)と言います。成長サイクルは、3つの期間にわかれます。
- 成長期:毛母細胞が分裂し、皮膚の表面から毛が出てくる
- 退行期:毛の成長が終わり、抜ける準備が始まる
- 休止期:毛が抜け、毛母細胞が分裂の準備を始める
毛周期は、体の部位によってかかる時間が異なり、頭髪の場合は男性で2年から7年程度、女性で3年から6年程度です。AGA患者さんの場合は、このサイクルが短く、数ヶ月から1年程度になってしまうため、育ちきっていないウブ毛状の毛が増えます。
毛は、毛の元になる毛母細胞が分裂し成長することで生えます。毛母細胞が分裂するためには、毛乳頭と呼ばれる細胞がFGF-7(育毛促進因子)を作る必要があるのです。円形脱毛症の人は、サイクルには問題がないにも関わらず、毛母細胞が白血球に攻撃され分裂できません。
白血球は、体の外から侵入してきた異物を排除するのが本来の役割ですが、円形脱毛症の人は異物ではないにも関わらず毛母細胞を攻撃し、排除しています。白血球に攻撃された毛母細胞は、新しく毛を作るための分裂することができず、毛周期の休止期の状態が続いてしまうのです。
ストレスが原因であるとは限らない
円形脱毛症といえば「ストレスが原因」と思われがちですが、円形脱毛症は自分の免疫の誤作動。
ストレスがきっかけになって症状が発生する可能性はありますが、主な原因ではありません。甲状腺やアトピーといった病気の人がなりやすいとも言われますが、因果関係はないようです。家族や親戚に円形脱毛症の人がいて、遺伝的に円形脱毛症になりやすい人もいます。円形脱毛症の患者さんの中には、「ストレスにも大きな病気にも心当たりがない」という人もいるんですよ。
円形脱毛症の症状は1つだけではない
脱毛部分が硬貨のように丸くなっていて、毛が生えている部分と抜けている部分の境目がはっきりしていれば「円形脱毛症だな」と考えることができますが、円形脱毛症の症状は硬貨大の脱毛だけではありません。
もしかしてこれも? と思ったときの判断ポイントを紹介します。
- 脱毛部分とそうではない部分の境界がはっきりしている
- 脱毛部分周辺の毛をひっぱるとするっと抜けてしまう
- 硬貨大の脱毛部分が1ヶ所ある
- 硬貨大の脱毛部分が複数ある
- 頭の側面から後ろ側の毛が帯状に抜けている
- 頭全体の毛がない
- 頭の毛だけでなく、脇毛や眉毛、隠毛も抜けている
「もしかして、脱毛症かも」と思ったときの判断ポイントは、毛を引っ張ったときの抜け具合です。起床時の枕カバーについている毛や、お風呂上がりの排水溝に溜まっている毛を判断基準にする人もいますが、普段の抜け毛の量がわからないと判断しにくいですよね。
自分でやるのは少し怖いと感じてしまいますが、脱毛部分周辺の毛をひっぱってみると、脱毛が今も進行しているのかどうかの判断がしやすいです。何の抵抗もなくスルスルっと抜けてしまうようなら、脱毛症が進行しています。簡単には抜けないようなら、脱毛時期は過ぎているということ。鏡で脱毛部分をチェックして、ポツポツと毛穴が見えたり、細くても毛が生えているようなら、毛が生えてくることを期待してもいいでしょう。
脱毛部分が丸くない場合でも円形脱毛症である可能性があります。側頭部から後頭部にかけて帯状に脱毛する場合や、頭全体の毛がない、脇毛や眉毛といった身体の毛が脱毛することもあるのです。AGAは、頭頂部や額の生え際が徐々に薄くなってくるのが特徴です。それ以外の部分がある日を境に薄くなるようなら、円形脱毛症を疑った方がいいでしょう。
円形脱毛症になった場合は皮膚科を受診
円形脱毛症になった場合は、AGAクリニックよりも最寄りの皮膚科の受診をおすすめします。AGAクリニックは、男性型脱毛症の専門クリニックなので、円形脱毛症には対応していないこともあるからです。
一般の皮膚科の場合、待合室が共同の場合が多く「プライバシーが守られないので恥ずかしい」と感じる人も多いと思いますが、AGAクリニックを受診するなら、円形脱毛症にも対応しているクリニックを選びましょう。
円形脱毛症にも対応しているAGAクリニックを紹介します。
AGAスキンクリニック
AGAスキンクリニックは、北海道から沖縄まで日本全国55院あるAGA専門のクリニックです。AGA治療の幅が広いことに定評があり、外来実績は33万人*。6ヶ月での発毛実感率は99.4%*を誇ります。(公式ホームページによる)
AGAスキンクリニックの公式ホームページでは、円形脱毛症が治るまでの間の治療としてヘアタトゥーを紹介しています。新しい毛が生えてくるまでの間、円形脱毛症の症状がある部分を目立たなくさせる有効な対処策としておすすめしているのです。へヘアタトゥーの施術は、AGAスキンクリニックでも受けることができます。円形脱毛症の相談時に、話を聞いてみるといいですね。
AGAスキンクリニックは、一般の皮膚科と違いこのような特徴があります。
- カウンセリング:無料
- 初診・再診料金:無料
- 血液検査料:無料
- 料金:一律
- 予約方法:LINE・Web・フリーダイヤル
- 待合室:個別カウンセリングルームあり
夜遅くまで働いていて日中の時間が取れない人や、都道府県内にAGAスキンクリニックはあるものの、居住地からは遠く行けない人のために遠隔診療も提供しています。遠方の方がヘアタトゥーを利用する場合は施術当日の交通費を最大2万円まで補助してもらえます。また、交通費が往復2,000円以上かかる場合は、交通費補助制度の利用も可能です(初回利用のみ)。
駅前AGAクリニック
駅前AGAクリニックは、円形脱毛症にも対応しているAGAクリニックです。全国に6院展開しており、割引モニター(毎月10名限定)を実施しており、1日5名限定で初診料と血液検査が無料になります。
公式ホームページには症例写真の紹介があり、その中で単発型の円形脱毛症を発症し、完治後に再発してしまった70代の女性患者さんの例が掲載されています。頭部全体に円形脱毛症が進行し、前頭部付近にはほぼ髪のない状態だったのが7ヶ月後には、「少し薄いのかな?」と感じる程度にまで復活している様子がうかがえます。
駅前AGAクリニックの特徴はこちらです。
- カウンセリング:無料
- 初診料:通常5,000円
- 再診料:無料
- 血液検査料:通常5,000円
- 予約方法:LINE・Web・フリーダイヤル
公式ホームページ内に、円形脱毛症の症例写真も豊富にありますし、円形脱毛症に関する記事もあり、AGA以外の頭髪の悩みにも応えてくれる雰囲気があります。円形脱毛症治療のモニターを募集している院もありますので、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
まとめ:円形脱毛症は育毛剤よりクリニックヘ
円形脱毛症は、自己免疫系の異常が原因です。AGAとは別の治療が必要なので、育毛剤に頼らず皮膚科や円形脱毛症対応のAGAクリニックを受診しましょう。
円形脱毛症は、頭部に丸もしくは楕円形の脱毛部分が1つから数カ所できる場合が多く、頭頂部や額の生え際が徐々に薄くなるAGAとは症状が違います。脱毛範囲が狭く、1カ所しかない場合は自然に治る場合が多いですが、複数箇所にあったり、広範囲に及ぶ場合は、悪化する可能性もあります。悪化した場合は、治療が数年に及ぶこともあるので、自分一人で悩まず、専門医に相談しましょう。